人魚がドレスに着替えたら

美しい自然がいっぱいの、アメリカ・オレゴン州に住んでいます。 手芸が大好きで、今はせっせと着せ替え人形を作る日々です。 出来上がった人形の紹介や日々の出来事、庭に遊びにくるリス友の様子など、いろんなことを綴っています。

タグ:木内昇著



木内昇著「茗荷谷の猫」を読みました。
IMG_20240516_125402これまで木内昇氏の小説を色々読みましたが、
最近読んだ本は全て「何かに熱中する人」の話で
それぞれにストーリーは大きく違っていても、
主人公が常軌を逸して何かにのめり込むのは同じで
そう言う物語はどれを選んでも本当に面白いなあと
今回この本を読んでまたしみじみしました。
( 木内昇著「櫛引道守」を読みました。 )
( 木内昇著「球道恋々」を読みました。 )
( 木内昇著「光炎の人(上・下)を読みました。 )

この物語は、幕末から昭和にかけ、江戸/東京に生きた
名もなき人々の生き様を描いた短編集です。

 植物が大好きで、遂には武士の身分を捨てて
植木職人になった男は、苦心の末に「染井吉野」を作り
末長く皆に愛される桜を作ることに成功するのですが、
名声や金に興味のない男は妻の複雑な思いもよそに
職人としての道を邁進するのでしたが・・・
 皆を幸せにする「黒焼」の秘薬を作ると言う夢を掲げ
一人試作を続ける春造は、夢を人に語るたびに呆れられ
それでも秘薬の完成のために極貧に耐えながらも
黒焼を続けるのでしたが・・・
 父からの遺産で茗荷谷に一軒家を買った男は、
贅沢をしなければ一生のんびり暮らして行けると判断して、
面倒な人付き合いを極力排除して生きる道を選ぶのですが
彼の言動が周りの人々の誤解をよんで、
静かなはずの彼の生活が思いもよらぬ方向へ・・・
 いつかは自分で映画を作ると言う夢を掲げて、
街の映画館で働く「庄助さん」は、素直で邪気のない青年。
不器用なため仕事ぶりは褒められたものではないものの、
皆に愛されていた「庄助さん」ですが、
召集令状が来て彼も戦地へと赴くことに・・・

歴史に名を残す人々ではない普通の人々の話ですが、
一様に滑稽なほどのひたむきさや思い込みが
どれも究極の「涙」や「笑い」に変わる物語でした。
ちょっと不思議な感覚に陥る短編もありましたが、
身につまされる部分も多くあり、面白く読めました。




「リムル」人形、完成しました。
刀は割り箸で作ったのですが、ちょっと細すぎた?
IMG_20240515_160038IMG_20240516_174819IMG_20240516_175020命が終われば時間と共に忘れ去られる人々で
この世界は出来ている・・・
人々の熱い願いや夢も多くの場合は叶わないまま。
でも、こんな物語を読むと「だから良いのだ!」
とも思えてくるし、これが自然なのだと思えます。
何かに夢中な人は往々にして滑稽なものかも知れず、
その滑稽さが実はその人の最大の魅力にもなり得て
面白いものですよね。




今日のリス友。
久しぶりのチビリスです。
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木内昇書「 光炎の人(上・下)」を読みました。
上下巻合わせて800ページ以上ある長編です。
IMG_20240409_123035以前読んだ「櫛挽道守」がとても良かったので、
( 「櫛挽道守」を読みました。 )
今回もまた同じような感動を期待していたのですが、
どちらも一つの事に打ち込む者たちの物語であっても
「光炎の人」は読後感がとても重く暗く、
「どうしてこうなってしまったのか・・・?」
と、現実の事のようにしばらく引きずってしまいました。

舞台は明治後期の徳島。貧しい農家育ちの音三郎は
12歳の時に家族のために工場で働き始めますが、
そこで目にした機械や電気の可能性に魅せられ、
独学で機械の構造を学んだり電気について調べたり
寝食を忘れてのめり込んでいきます。
彼の頭の中にあるのは常に機械や電気の事ばかり、
皆の生活が楽になるような製品を作りたい一心で
いつしか実家への仕送りも忘れて、少ない給金で
新製品の開発のための資材まで買うように・・・

近代化の波が押し寄せる中の職工の仕事は過酷で
骨身を削るようにして製品開発を続ける音三郎でしたが、
目指していた製品は大企業が先に商品化を果たしたり
何の後ろ盾もなく貧しい「一職工」の音三郎は、
どんなに努力しても叶えられる事のない夢の現実に
知らず知らずのうちに心身ともに疲弊していきます。

が、彼の技術者としての力を見込んで助力する者もあり
東京の軍の機関で開発に打ち込めるようになるのですが、
小学校すらまともに出ていない音三郎は学歴を詐称し
帝国大学卒の同僚ばかりの職場で彼らと渡り合う事に。
その時彼が目指していたものは「無線機」の開発で、
やがて満州の制圧を目論む関東軍の指示のもと
満州で無線機の開発を進める事になるのですが・・・

機械や電気に魅せられ真摯に努力を続けてきただけ、
ただただそれだけなのに、本人も気付かぬうちに
その道が歪められていく過程が本当に辛かったです。

幼馴染の利平は、残骸のようになった音三郎を見て
こんな風に思います。
「こんなに不器用なのによくぞここまでの出世を遂げた。
他人を欺くことも踏み台にすることも裏切ることも
出来ずに来たのではないか。
わずかな反目に多大な労力を使い、
密かに温めていた計画を他者に利用され、
それにも気付けず突き進んできたのではないか。
技術は自分を裏切らない、自分には確かな才がある、
いずれ人がやっていないような技術を確立してやる・・・
その思いだけでやみくもに走ってきたのではなかろうか。」
音三郎が純粋すぎるだけに音三郎のひたむきさが哀れで
こんな生き方のどこが悪い?音三郎の一体どこが悪い?
と泣けて泣けてしょうがなかったです。

心地よい感動とは違う暗く心揺さぶられる物語で
好みが分かれそうですが、読み応えがありました。




「一花ちゃん」ここまで出来ました。
IMG_20240409_141428この物語の感想を書きながらまた気持ちがぶり返し
「音三郎・・・なんでそうなった・・・」
と泣けて泣けて・・・
この物語はしばらく記憶に残りそうな気がします。




今日のリス友もポコチン君です。可愛い!
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木内昇著「 球道恋々」を読みました。
IMG_20240228_154142前回読んだ木内昇氏の「櫛挽道守」に感動したので
( 「櫛挽道守」を読みました。 )
この小説も楽しみながら読みました。
「櫛挽道守」は櫛を引く事に情熱の全てを捧げた
「櫛挽ばか」の登瀬の物語でしたが、
この物語は、明治の頃に野球にのめり込んだ男たちの
熱い熱い痛快「野球ばか」物語です。⚾️⚾️⚾️

主人公は宮本銀平。小さな文具業界紙の編集長で、
第一高等学校在学中は万年補欠の野球部員でした。
同級生の多くが帝国大学を経て出世をしている中で
銀平は父の病気のために大学進学を断念して
家業を継ぐ事にしたものの、結局ものにならず
今は小さな会社の編集長・・・

が、ある時、一高野球部のコーチをしてくれと頼まれ
そこから銀平の「野球ばか」が再び発動&炸裂して
どんどん野球にのめり込んでいきます。
一高野球部は長い事最強チームとして君臨していたのが、
弱体化が進み、早稲田などの私学にも勝ちを譲るように。
その窮地を救うべくして迎えられたのが銀平でした。

挫折の多い人生を粛々を受け入れてきた銀平ですが、
チームの立て直しのために苦心と挫折を重ねながら
自分と同じ多くの野球ばかと時間を共にするうちに
才能の有無に関わらず熱中できる事のある幸せや
家族や友人たちの温かな思いを感じる事になります。

この物語は実話に基づいていて、
多くの登場人物は実在した人物なのだそうです。
一時は「野球害毒論」が世に広がった事や、
「高校野球」が始まった経緯なども書かれていて
楽しく読めました。
700ページ近い長編なので読むのは大変でしたが。

ところで、この小説を読んで昔の事を思い出しました。
私が小学生くらいの時、父がよく草野球をしていた事を。
日曜日に近くのグランドで練習したり試合をしたり・・・
今でも野球好きの大人たちがチームを作って
揃いのユニフォームで草野球ってやってるんでしょうか?
ほんと、何でも夢中になれる事があるって幸せですね。

そして、今「野球」と言えばやはり・・・
大谷翔平さんが結婚したニュースですよね。
アメリカで野球は人気度では4番目くらいなので
(フットボール、バスケ、サッカーあたりが超人気。)
大谷翔平さんの事も知っている人は少ないのですが
日本での人気はほんとすごいですね。号外まで出て!
いまだに放心状態の人も多かったりして? 
何はともあれ、おめでとうございます!🎉🎉🎉



今日のリス友。
久しぶりのピコチン君です。
尻尾もすっかりモフモフになりました。
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「 Amazon Japan  」からこんな本を買いました。
IMG_20240215_114446今回は全部で17冊、なるだけ文庫本を選びましたが
木内昇氏の「かたばみ」だけは単行本です。
しかも17冊中7冊が木内昇氏の作品。
その他の本も気になる作品ばかりを選んだので、
これから読むのが楽しみです。
グレーの猫が表紙の「通い猫アルフィーの奇跡」は
絵の可愛さとレビューの良さに惹かれて書いました。
モフモフニャンコに癒される物語を期待していますが、
今読んでいる本が終わったら読んでみるつもりです。

ここ数年本当に日本の本が買いやすくなりました。
以前は、わざわざ日本から取り寄せたりしたら
送料から何からでかなりの金額になったのですが、
しばらく続いている円安の恩恵を受けて、
日本で買うのと同じ感覚で買えるように。
ブックオフで買ったり図書館で借りる事に比べたら
もちろん高くついてしまうのですが、
そのどちらも選べない環境なのでしょうがないです。

一年ほど前から、まめに本を読むようになりましたが、
一時のマイブームみたいな事で終わらず続いているので
自分でもいい事だなと思っています。
人形作りや他の仕事が終わった後、夕食の後に
ソファでお茶を飲みながらのんびり本を読む時間は
確実に私の癒しの時間になっているからです。
本を読むから気持ちが落ち着くのか、
気持ちが落ち着いているから本が読めるのか・・・
「卵が先かニワトリが先か?」みたいな話ですが、
私は気持ちがワサワサして落ち着かない時は
本の内容に集中できないことが多いので、
今は気持ちが落ち着いている証拠かなと思っています。
どうか、こう言う静かな日々が長く続きますように!



今日のリス友。
今日もやる気満々のモッフーです。
IMG_20240210_155357IMG_20240210_155355IMG_20240212_155751(今日は人形の紹介はありません。)

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木内昇著「櫛挽道守」を読みました。
この物語、本当に良かった!大感動でした。
IMG_20240124_094655幕末、時代が大きなうねりの中にいた頃の物語です。
木曽で一番の腕を持つ櫛挽職人の父・吾助に憧れて
自らも櫛挽職人を目指す「登瀬」が主人公。
女は嫁いで子供を産み家を守るのが当たり前の時代に
登瀬は寝ても覚めても頭にあるのは櫛挽の事ばかりで
勝手仕事は二の次三の次、ほぼ母や妹に任せきり・・・
父の技に近付こうとひたすら努力を続けていきますが、
彼女の年頃の娘らしからぬ「櫛挽」への異常な情熱に
周りの人々はドン引き・・・

せっかくの良い縁談もめでたく(笑)破談となり
櫛挽職人への道をさらに邁進し始める登瀬でしたが、
吾助の弟子となって同じ家に寝起きをするようになった
イケメン櫛挽職人の登場で、登瀬の心は大きく乱れます、
「コイツには負けられない!」と言う競争心で。

で、この家族に、大きな影と共に光も与え続けるのが
不慮の事故で12歳で亡くなった登瀬の弟・直助。
登瀬は、自分たちの知らなかった弟の姿を知ろうと
彼の友達だった源次から時々話を聞くようになります。
長い時間をかけて、直助の想いや夢が明かされて行き
登瀬の人生に大きな影響を与えていく事に・・・
その過程で登瀬と源次の関係も変わって行くのですが
この二人の関係がもう本当に切なくて切なくて
何度も泣かされました。

私はこう言う物語に弱いと言ったらいいか、
こう言う生き方に憧れると言うか、
一つの事に脇目も振らずに打ち込まずにいられない、
傍目にはただの頑固者の変わり者と思われても、
全ての事を犠牲にしてもやり遂げたい事がある。
もしかしたら私が一番憧れる生き方かもしれません。
この本は超おすすめです。




「フリーレン」人形、イラストをもとに
こんなふうに生地を用意しました。
IMG_20240125_173527このイケメン櫛挽職人、見目も良ければ才能もあり
見聞が広く商才もあり、非の打ち所がないのですが、
登瀬が常に彼をライバルとして敵視しているためか
彼の印象は常に胡散臭く、何か企んでいるように見えて
「最後の最後に大どんでん返しがあったりして?」
なんてかなり勘繰って読んでしまいました。
本当にどんでん返しがあるのか、ハッピーエンドなのか、
その辺は、読んでみてのお楽しみ〜〜〜 



今日のリス友。
またまたモッフーです。でかい・・・
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木内昇著「ある男」を読みました。 
IMG_20231019_110038これは7編の短編からなる小説です。
太平の江戸の世から激動期を経て明治に移り
動乱は落ち着いたものの、帝国憲法等がまだ定まらず
中央も地方も非常に不安定な頃の話です。
歴史に名を残すような人物でもなく、
逆に簡単に忘れ去られていくような普通の「男」が
一編ごとに主人公として登場します。

「ある男」は12歳から山で銅を掘り続けている男、
新政府が進めようとする無謀な山の掘鑿に反対し
それをやめさせようと東京に向かうのですが・・・
また「ある男」は腕の立つ細工師。
明治の世になり逆賊と虐げられる浪人らの頼みで
「偽一両札」作りに手を貸すことになります。
もちろん見つかれば大罪と知っての事ですが・・・
また「ある男」は地役人として安泰に暮らして来た男。
新政府の施政に反対する農民の訴えが大きくなり
新知事と農民との間で板挟みになるのですが、
自分の保身を優先して人心を読む事を怠ったために
仰天のしっぺ返しをされる事に・・・

何事かが起きれば「激動の時代」と言われたりしますが
この7人の「男」達の通ってきた激動の時代は
正真正銘の波乱の時代で、その激烈さも混沌ぶりも
今の時代とは比べ物にならないものを感じました。
どの「男」の物語も全くハッピーエンドではなく、
そこからまた不穏なものが続いていくような
その時代の色がそのままそこに残っているような
なんとも言えない終わり方の短編ばかりでしたが、
とても読み応えのある時代小説で、おすすめです。



「キャロット」完成しました。
色が鮮やかで特徴的な衣装なので作り映えしました。
柄物のスカートを添えて着せ替え人形らしく。
IMG_20230926_113300IMG_20230926_113048IMG_20230926_112908IMG_20230926_112818私は侍の物語が好きで、特に義士伝が大好きなので
「あの時代にもし自分が武士だったら・・・」
とついつい妄想してしまいます。
自分が幕府に命を捧げている武士だったとしたら、
私はどう生きていたんだろうか・・・
多分この性格であの時代に武士なんてやっていたら、
頭に血が登って血迷った事をしでかしていたのでは?
と思ってしまいます。
自害とか刀を振り回して討ち死にとか・・・
「これが武士の本懐」とか言って・・・
止むに止まれぬ行動に出る者が多かった時代なのは
間違いないようです。



今日のリス友。
塀の上でまったりするモフモフちゃんです。
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