原田ひ香著「母親ウエスタン」を読みました。
帯に「流しの『お母さん』が全国を放浪」とありますが
「広美(ひろみ)」と言う女性が20代から40代まで
色々な理由で母親の欠けてしまった家庭に入り込み
数年間、時には数ヶ月だけ子供たちの母親となり、
全国を点々としながらこれを繰り返していく
ちょっと不思議で謎の多い女性の物語です。
広美は「母親のいない家庭」を見つけると
偶然を装って父親に近付き、最終的には当然のように
母親然としてそこの家庭で生活を始めるのですが、
「彼女はなぜそんな事を繰り返しているのだろう?」
と少し気味の悪いような得体の知れない感じというか
そんな感覚を覚えてしまいます。
広美はどの家族と暮らしても常に「愛情深い母親」で
彼女が20年近くもそんな事を続けた結果、
その当時は幼かった子供達も多くが成人し、
その中の何人かは急に消えてしまった「母親」を探し
ずっと忘れられずにいるのです。
当の広美はと言えば全ての記憶が朧げだと言うのに。
結局、広美も大きな心の傷を抱えていて
その傷を癒すための行動だったとわかるのですが、
広美が関わった多くの子供達にしても
その時は広美の存在に間違いなく助けられ、
広美も同時に救われていたとしか言いようがなく、
なんだかとても切ない物語でした。
本の裏には「痛快で爽快な女一代記」とありましたが
私には全く痛快でも爽快でもなく・・・
それぞれにかなり読後感が違ってきそうな本です。
「ハリネズミ」人形の続きです。
イラストをもとにまず型紙を作りました。
広美の目的が「『母親』をする事」だったためか、
それぞれの子供達には強い印象を残していても
彼らの父親達にはほとんどそれ以上の印象は残さず、
他人同士の男女の関係と言うこともあってか、
どこか最初から諦めのようなものがあった気がして
その辺、ちょっと面白かったです。
今日は鳥友です。
動画も作っています。
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