原田ひ香著「母親ウエスタン」を読みました。
IMG_20230608_091032帯に「流しの『お母さん』が全国を放浪」とありますが
「広美(ひろみ)」と言う女性が20代から40代まで
色々な理由で母親の欠けてしまった家庭に入り込み
数年間、時には数ヶ月だけ子供たちの母親となり、
全国を点々としながらこれを繰り返していく
ちょっと不思議で謎の多い女性の物語です。

広美は「母親のいない家庭」を見つけると
偶然を装って父親に近付き、最終的には当然のように
母親然としてそこの家庭で生活を始めるのですが、
「彼女はなぜそんな事を繰り返しているのだろう?」
と少し気味の悪いような得体の知れない感じというか
そんな感覚を覚えてしまいます。
広美はどの家族と暮らしても常に「愛情深い母親」で
彼女が20年近くもそんな事を続けた結果、
その当時は幼かった子供達も多くが成人し、
その中の何人かは急に消えてしまった「母親」を探し
ずっと忘れられずにいるのです。
当の広美はと言えば全ての記憶が朧げだと言うのに。

結局、広美も大きな心の傷を抱えていて
その傷を癒すための行動だったとわかるのですが、
広美が関わった多くの子供達にしても
その時は広美の存在に間違いなく助けられ、
広美も同時に救われていたとしか言いようがなく、
なんだかとても切ない物語でした。
本の裏には「痛快で爽快な女一代記」とありましたが
私には全く痛快でも爽快でもなく・・・
それぞれにかなり読後感が違ってきそうな本です。


「ハリネズミ」人形の続きです。
イラストをもとにまず型紙を作りました。
IMG_20230511_124522広美の目的が「『母親』をする事」だったためか、
それぞれの子供達には強い印象を残していても
彼らの父親達にはほとんどそれ以上の印象は残さず、
他人同士の男女の関係と言うこともあってか、
どこか最初から諦めのようなものがあった気がして
その辺、ちょっと面白かったです。


今日は鳥友です。
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動画も作っています。


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