伊与原新著「「宙(そら)わたる教室」を読みました。

夕方からは定時制高校で働く数学&理科教師。
新宿にあるその都立高校の定時制に通う生徒たちは
それぞれに事情を抱えたユニークな?面々で、
そんな彼らの抱える様々な問題と向き合いながらも
淡々とした態度で授業を続けて行く藤竹先生でした。
が、彼には密かに進めようとしている「実験」があり
少しずつ「有志」を募って「科学部」を結成して
「火星のクレーター」を再現する実験を始めます。
その科学部のメンバーになったのが、
ディスレクシアのため文字の読み書きが困難な柳田岳人。
実はとても優秀なのにも関わらず、抱える障害のために
長い事不遇な人生を送ってきた青年です。
次は、長嶺省造(70歳前半)クラスでは最年長。
中学卒業と同時に集団就職で東京に出て来たため、
学び直しをしようと頑張っている男性です。
次は、日比ハーフの越川アンジェラ、40歳。
同じ日比ハーフの夫とフィリピン料理店を営む女性。
最後が名取佳純、16歳。
出来過ぎの母親の元、中2の頃から不登校になり、
リストカットを繰り返してやっと生き延びて来た彼女は
定時制に居場所を求めてなんとか通い始めたものの
今はほとんどの時間を保健室で過ごす女の子です。
そんな凸凹メンバーが集まって「火星のクレーター再現」に
必死になって取り組んで行きながら、同時に自分の人生も
少しづつ立て直して行く胸熱物語でした。
定時制高校の存在自体は知っていても、
実態というか実情はあまり知られていませんよね。
私もほとんど何も知りませんでした。
ただ、短大卒業後に3年だけ勤めた養護施設では、
子供達の中には中学卒業後に寮完備の会社に就職して
夜は定時制高校に通う子も毎年数人はいたので、
何の後ろ盾もない子供達が高校教育を受けられるのは
有難い事だなと漠然と思っていたのです。
もう40年近くも昔の話になりますが・・・
でも、実際はその4年間を通い通して卒業するのは
入学時の生徒のほんのほんの一部なのですよね。
実際にそんな会社に入り昼働き夜は定時制に通い通して
立派に卒業したたくましい女子を知っていますが、
入学時は何十人といた生徒もどんどん減っていき
卒業出来たのは自分も含めたった4人だったとか・・・
それだけに彼女の忍耐や努力がどれほどのものだったか
改めて頭が下がる思いなのです。
そんな彼女も結婚して子供も生まれ、今はもう50代、
仕事に家事に元気に頑張っています。
心から「末長く幸あれ!」と祈らずにいられません。
長い人生の中で出会う数限りないの人々の中には
短い付き合いであっても確実に自分の人生を変える
大きな力を持つ人が必ずいるものですよね。
それが良い事とは限らないのが残念な所ですが、



「良い力」を感じる能力は誰もが持ってるはず、
素直にそちらを選ぶ勇気をいつも持っていたいです。
今日のリス友は、ポコチン君です。
クルミのかすをこぼしつつ無心に食べてます。






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