木内昇著「ある男」を読みました。

太平の江戸の世から激動期を経て明治に移り
動乱は落ち着いたものの、帝国憲法等がまだ定まらず
中央も地方も非常に不安定な頃の話です。
歴史に名を残すような人物でもなく、
逆に簡単に忘れ去られていくような普通の「男」が
一編ごとに主人公として登場します。
「ある男」は12歳から山で銅を掘り続けている男、
新政府が進めようとする無謀な山の掘鑿に反対し
それをやめさせようと東京に向かうのですが・・・
また「ある男」は腕の立つ細工師。
明治の世になり逆賊と虐げられる浪人らの頼みで
「偽一両札」作りに手を貸すことになります。
もちろん見つかれば大罪と知っての事ですが・・・
また「ある男」は地役人として安泰に暮らして来た男。
新政府の施政に反対する農民の訴えが大きくなり
新知事と農民との間で板挟みになるのですが、
自分の保身を優先して人心を読む事を怠ったために
仰天のしっぺ返しをされる事に・・・
何事かが起きれば「激動の時代」と言われたりしますが
この7人の「男」達の通ってきた激動の時代は
正真正銘の波乱の時代で、その激烈さも混沌ぶりも
今の時代とは比べ物にならないものを感じました。
どの「男」の物語も全くハッピーエンドではなく、
そこからまた不穏なものが続いていくような
その時代の色がそのままそこに残っているような
なんとも言えない終わり方の短編ばかりでしたが、
とても読み応えのある時代小説で、おすすめです。
「キャロット」完成しました。
色が鮮やかで特徴的な衣装なので作り映えしました。
柄物のスカートを添えて着せ替え人形らしく。







「あの時代にもし自分が武士だったら・・・」
とついつい妄想してしまいます。



自分が幕府に命を捧げている武士だったとしたら、
私はどう生きていたんだろうか・・・
多分この性格であの時代に武士なんてやっていたら、
頭に血が登って血迷った事をしでかしていたのでは?
と思ってしまいます。
自害とか刀を振り回して討ち死にとか・・・



「これが武士の本懐」とか言って・・・
止むに止まれぬ行動に出る者が多かった時代なのは
間違いないようです。
今日のリス友。
塀の上でまったりするモフモフちゃんです。

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