温又柔( Wen Yuju )著「祝宴」を読みました。

台湾人の玉伶(イーリン)と結婚する明虎(ミンフー)
事業を起こした友人の右腕として成功を収めながら
日本に居を構えて、台湾、中国、日本を行き来し、
多忙を極める中でも妻と共に二人の娘を育て上げます。
そして次女の喜喜(キキ)は結婚し娘も生まれ・・・
明虎の成功のお陰で裕福に育った娘たちと明るい妻、
一見何の問題もなさそうに見える家族なのですが、
長女の瑜瑜(ユーユー)には両親に対して秘密があり
それが、彼女の恋人が「女性」であるという事・・・
明虎は娘を愛し大切に思いながらも
なかなかその事実を受け入れる事ができずに、
それでも自分の来し方、両親の人生などを辿る事で
少しずつ瑜瑜の心に寄り添えるようになって行きます。
我ながら、このあらすじは陳腐ですね。(笑)



このあらすじでは誰も読みたいと思わないかも。
そうなのです、今の時代LGBTQが主題の話が多いので
目新しさがないように感じられてしまうのですが、
この物語はまず「国」を越える所から始まっていて
言語や習慣、価値観などなど、LGBTQ問題以前に
明虎には既に多くの境界を超えてきた過去があり
それがこの物語の軸になっています。
親日台湾、反日中国、そして日本・・・
戦後の激動期に時代の波に翻弄された明虎の両親、
事業拡大のために日本に住み差別も経験する明虎、
日本で「自分は何者なのか?」と苦しむ瑜瑜・・・
異国で暮らす事で日々感じる葛藤やジレンマなどは
共感するところばかりでした。



でも私は日本とアメリカと言う国際関係で言ったら
一番単純明快な中での行き来なので、
彼らが抱えた葛藤に比べたら、本当に小さいもの。
私が今まで住んだ場所は移民が住み良い場所ばかりで
差別等で苦しめられた経験すらないのですから。
そう言う場所を選んで来たと言う事もありますが、
私はずっと恵まれていたと言わざるを得ません。
この本を読みながら、明虎と玉伶夫妻の顔が
とても具体的に目に浮かんで来ていたのですが、
何かの映画で見た人物と重ねたものか・・・
今もちょっと思い出せずにいます。
今日は「アナとエルサ」の全員集合です。
二人揃ってもなんか地味ですね〜〜〜






私の日本語なら大体理解する事は出来ても
私の両親と会話をする事はまず無理です。
これと全く同じ事がこの物語にも描かれていて、
ある意味「あるある」だなあと思いながらも
家族で実家に帰るたびに皆が感じるもどかしさを
改めて思い出してちょっと切なくなりました。
今日はウサ友です。
シロツメクサに埋もれています。




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