町田そのこ著「星を掬う」を読みました。

( 「52ヘルツのクジラたち」を読みました。 )
これも、心に大きな傷を抱えた人々の物語です。
幼い頃に母と別れ、父と祖母に育てられた千鶴は、
母に捨てられたと言う思いを引きずって生きてきた女性。
暴力的な元夫に付き纏われ金を奪われボロボロになって
「もう殺すしかない」と言う所まで追い詰められた時に
美容師の恵真に助けられ、かくまってもらうことに。
連れて行かれた彼女の住まい「さざめきハイツ」で
千鶴は自分を捨てた母と再会する事になるのですが、
その時52歳の母は若年性痴呆症を患っていて・・・
まっすぐな心を持った恵真にも辛い過去があり、
それを救ったのが千鶴の母・聖子だったのでした。
他にも、娘に捨てられた彩子も同居していて、
全員が親子関係につまずいて傷ついてきた者たち。
「捨てられた側」と「捨てた側」の思いがぶつかり
どこにも出口がないように思えるのですが、
4人の共同生活が続くうちに何かが少しずつ変化し
千鶴と聖子の関係も変わって行きます。
これは、「自分の犯した間違いや罪をどう償うのか?
その後どう生きていくのが正しいのか?」
と言う事を考えさせられる物語でもありました。
この物語の中で一番に心に刺さった言葉は、
「加害者が救われようとしてはいけない。
被害者に求められてもいないのに許しを乞うのは、
暴力でしかない。」と言う言葉でした。
私も、自分が誰かを傷つけたと思う時、
楽になりたくて相手に謝った事が何度もあります。
私の謝罪なんて欲しくなかった相手もいたはずで、
黙って良心の呵責に苦しみ続けることだけが
相手への唯一の謝罪になる事もあるのですね。
「シュタルク」人形の続きです。
イラストをもとにこんな風に生地を用意しました。

最後はホッと出来るハッピーエンドの話なのですが、
如何せん、DV、性的虐待、学校・職場でのいじめなど
物語とは言え、息の詰まるような描写も多くて
あまりおすすめの本ではないかも・・・



今日のリス友。
モッフーです。




