原田マハ著「本日は、お日柄もよく」を読みました。

先月「板上に咲く」を読んで大感動したばかりですが
今回の物語もジーーーンと心に染みる話でした。
( 「板上に咲く」を読みました。 )
27歳の二ノ宮こと葉は、幼馴染の今川厚志の結婚式で
(二ノ宮家と今川家は家族ぐるみの長い付き合い)
これ以上ない感動的なスピーチに出会います。
久遠(くおん)久美と言う女性の祝辞で、
彼女は知る人ぞ知る伝説のスピーチライターでした。
その場の空気を一瞬にして変えてしまう話術に感動して
こと葉は早速久美に弟子入り・・・
数ヶ月後、友人であり同僚でもある千華の結婚式で
こと葉は素晴らしいスピーチで千華を祝福するのでした。
そして「言葉の世界」にどんどんのめり込むうちに
こと葉は会社で新しく重要な仕事を与えられて
別の「言葉の魔術師」和田日間足(ワダカマタリ)と言う
コピーライターと知り合う事に・・・
イケメンでやり手の和田に圧倒されながらも、
こと葉はスピーチ(言葉)のマインドを磨いていきます。
その後、厚志が亡父の後を継ぐ形で議員選に出馬を決め
こと葉は彼のスピーチライターとして仕事をする事に。
以前の仕事はキッパリと辞め厚志と共に働く事を決めて
目まぐるしい日々を送る事になること葉でしたが・・・
物語の後半は政治的な話も沢山盛り込まれているので、
恋愛、家族、仕事、政治、社会問題などなど、
テーマは広範囲で深いのですが、とても読みやすく
時々ほろっとさせられる温かな物語でした。
おすすめの本です。



ただ、久美が最初から最後までカッコ良すぎて
「・・・」ってならない訳でもなかったですが、
これは私の完全なるやっかみでしょうねえ?



皆さんには忘れられないスピーチってありますか?
私自身何度か友達の結婚式でスピーチをしましたが、
当時自分が何を話したか内容は全く覚えていないし、
無難なお祝いを言って終わりだった気がしています。
基本的に人前で話すって嫌じゃないですか?
何事もなく自分の使命を果たす事に必死で、
皆を楽しませようなんて考えてませんでしたよ。



で、私には忘られないスピーチがひとつあります。
いや、部分的に忘られないと言ったら良いか・・・
昔、養護施設で働いていた時の同僚の結婚式に出席した際
施設の園長先生が祝辞を滔々と述べてくれたのですが、
同僚と新郎が岩手県陸前高田市の出身だったためか、
「 T 君は、高田松原の砂浜に埋まっていた『金の玉』
だったのです。(私たまらず吹き出す・・・



Kさん、よくぞその『金の玉』を見つけられました!
その『金の玉』を胸に、ずっと大切にして下さい。」
と「よくやった、あっぱれ!」風に語ってくれたのでした。
園長先生はふざけていたのかと言えば全くそうではなく、
本人はいたって真顔、正真正銘の真面目な祝辞でしたが、
それだけに彼の祝辞は完全に私と新婦のツボに入り、
新婦はずっと肩をプルプルさせて笑いをこらえていたし、
逆に園長先生の隣の副園長先生は苦々しい顔をしてました。
私が聞いたスピーチでこれ程インパクトのあったスピーチは
今の所、これが一番です。(爆笑)
スピーチライターなら絶対に書かないスピーチでしょうが、
人の心に残った時点で成功と言えるのでは?いやダメか?
今日のリス友は、ピコチン君です。はむっ!




