人魚がドレスに着替えたら

美しい自然がいっぱいの、アメリカ・オレゴン州に住んでいます。 手芸が大好きで、今はせっせと着せ替え人形を作る日々です。 出来上がった人形の紹介や日々の出来事、庭に遊びにくるリス友の様子など、いろんなことを綴っています。

タグ:長編小説



吉田修一著「国宝」(上・下)を読みました。
20250531_102118上下巻ある長編小説を読んだのは・・・
村上春樹著「海辺のカフカ」を読んで以来です。
( 「海辺のカフカ」を読みました。 )
その時は春樹のキテレツワールドに当てられ、
「はい???」が渦巻き放心してしまったのですが、
今回の物語は別の意味で(笑)読了後は完全放心。
本当にすごい物語でした。(春樹ファン、ごめん。😆😆😆)

長崎の任侠の家に生まれ育った立花喜久雄は
15歳の時に組同士の抗争で父を失い、一門は没落。
その後、元々芸事に才のあった美貌の喜久雄は、
上方歌舞伎の大名跡の一門・花井半二郎の部屋子として
芸を磨いていく事に・・・
半二郎には喜久雄と同年の俊介と言う跡取りがおり、
彼らはともに切磋琢磨しそれぞれの持つ独特の魅力を
お互いに磨いて行く日々を送っていきます。

が、後に半次郎が怪我をし代役を立てねば無くなり
半二郎はそれを俊介ではなく喜久雄に任せた事から、
それまでの均衡や平穏は崩れていきます。
心の内を隠して、喜久雄の稽古の相手役を務めた俊介は
喜久雄が無事千穐楽を終えられた後、出奔。
俊介の10年の出奔の間に、喜久雄は三代目半二郎となり
二代目半二郎はついには病に倒れ・・・

10年の辛苦の空白を経て、俊介は花井家に戻り
妻と一人息子と共に新しい生活を築く事に努力し、
また喜久雄と共に舞台を踏み名声も得ていきますが、
無情にも俊介の体は父と同じ病に冒されていき・・・

光が強く当たる程に陰は濃くなると言うのは本当で、
誰かの苦悩や不幸の上に誰かの栄光が築かれるのか?
と思いたくなる物語ではありましたが、
一貫して描かれる役者たちの「狂気」のようなものが
素直に心に刺さって感動しました。

芸を極め「人間国宝」となった喜久雄は、
これ以上の先はないと思われる至高の芸の先に
一体何を求めて舞台に立ち続けるのか・・・
狂人になるしか道はないのか・・・
最後は静かに涙してしまう素晴らしい物語でした。
超超超おすすめです。😊😊😊


もう少しで映画も公開されるみたいですね。
原作を読んでから観た方が更に深く感動できそうです。






今日のリス友は・・・誰?😅😅😅
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三浦しをん著「風が強く吹いている」を読みました。
IMG_20231125_205025この本は600ページ以上ある長編なのですが
本当に楽しく読めました。
笑いあり涙もありで読後感は最高に良かったです。

「竹青荘」と言う超オンボロアパートに住む
男子大学生10人は、リーダー格の清瀬の音頭で
突如として「箱根駅伝」を目指す事に・・・
が、陸上競技経験があるのは10人中3人だけで、
しかも箱根駅伝への出場権を得る「予選会」まで約半年、
寄せ集め集団の無謀すぎる挑戦が始まります。
清瀬が中心となり、早朝からの走り込みに始まって
大学から戻った後は夕方から夜にかけての練習など、
彼らは急速に絆を深めながら日々成長を続けます。
物語の前半は、予選会を通過するあたりまで続きますが、
本当に読み応えがあったのは後半部分で、
箱根駅伝両日を詳しく描いた場面でした。
一区20キロほどの距離を10人で襷を渡しながら
10区を走り切るその二日間の模様が詳しく描かれて
一人一人の人となり、生き方も同時に語られ、
駅伝当日の様子は一気読みという感じでした。

とここまで、つらつら感想など書いてきましたが、
実は私「箱根駅伝」の事をほぼ何も知りませんでした。
もちろんその存在は知っていましたが、
むか〜し実家でお正月に家族がテレビで観ていたのを
本当に漫然としか観ていなかったので、
「箱根駅伝だもの箱根周辺を走ってるんだろうね?」
とすっとぼけた事を思っていたのです。
まさか東京ー芦ノ湖間を往復する駅伝だなんて
この本を読むまで知りませんでした。バカ。
この本のおかげで各コースについても急に詳しくなり
「箱根駅伝」の見方を完全マスターしました。

帯に「純度100%の青春箱根駅伝小説」とありますが、
本当にその通り。
若い彼らの痛みや迷い、苦悩、恐れ、怒りなどなど
状況は違えど「私もそうだった!」と共感する場面も多く
何度も何度も泣かされましたよ。
箱根駅伝が好きな方にもそうでない方にも
猛烈におすすめの本です。



今回は「クリスマスツリー」のオーナメントです。
イラストはこんな感じで・・・
IMG_20231106_141758「勝つ事以外の自分だけの理想や目標があってこそ
走り続けられるのだ。」
「勝利の形はさまざまだ。生きるうえでの勝利の形など
どこにも明確に用意されていないのと同じように。」
「選ばれなくても、走りを愛することはできる。
抑えがたく愛おしいと感じる心のありようは
走るという行為がはらむ孤独と自由に似て燦然と輝く。」
こう言う言葉にしみじみ希望や勇気をもらいました。



今日のリス友もピコチン君です。
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