吉田修一著「国宝」(上・下)を読みました。

村上春樹著「海辺のカフカ」を読んで以来です。
( 「海辺のカフカ」を読みました。 )
その時は春樹のキテレツワールドに当てられ、
「はい???」が渦巻き放心してしまったのですが、
今回の物語は別の意味で(笑)読了後は完全放心。
本当にすごい物語でした。(春樹ファン、ごめん。😆😆😆)
長崎の任侠の家に生まれ育った立花喜久雄は
15歳の時に組同士の抗争で父を失い、一門は没落。
その後、元々芸事に才のあった美貌の喜久雄は、
上方歌舞伎の大名跡の一門・花井半二郎の部屋子として
芸を磨いていく事に・・・
半二郎には喜久雄と同年の俊介と言う跡取りがおり、
彼らはともに切磋琢磨しそれぞれの持つ独特の魅力を
お互いに磨いて行く日々を送っていきます。
が、後に半次郎が怪我をし代役を立てねば無くなり
半二郎はそれを俊介ではなく喜久雄に任せた事から、
それまでの均衡や平穏は崩れていきます。
心の内を隠して、喜久雄の稽古の相手役を務めた俊介は
喜久雄が無事千穐楽を終えられた後、出奔。
俊介の10年の出奔の間に、喜久雄は三代目半二郎となり
二代目半二郎はついには病に倒れ・・・
10年の辛苦の空白を経て、俊介は花井家に戻り
妻と一人息子と共に新しい生活を築く事に努力し、
また喜久雄と共に舞台を踏み名声も得ていきますが、
無情にも俊介の体は父と同じ病に冒されていき・・・
光が強く当たる程に陰は濃くなると言うのは本当で、
誰かの苦悩や不幸の上に誰かの栄光が築かれるのか?
と思いたくなる物語ではありましたが、
一貫して描かれる役者たちの「狂気」のようなものが
素直に心に刺さって感動しました。
芸を極め「人間国宝」となった喜久雄は、
これ以上の先はないと思われる至高の芸の先に
一体何を求めて舞台に立ち続けるのか・・・
狂人になるしか道はないのか・・・
最後は静かに涙してしまう素晴らしい物語でした。
超超超おすすめです。😊😊😊
もう少しで映画も公開されるみたいですね。
原作を読んでから観た方が更に深く感動できそうです。
今日のリス友は・・・誰?😅😅😅




